KYOTO T CELL CONFERENCE

第6回


第6回 Kyoto T Cell Conference 開催にあたって

T細胞の機能に関する研究は飛躍的な発展を続けている。TCRやcytokine receptorを介するシグナル、その伝達経路、さらにこれに応答して特定の遺伝子が発現する機構など詳しい解析が行われ、T細胞の研究は分子生物学を推進する駆動力の1つとなっていると言えよう。そのような研究の一部はKTCCにおいても発表される。一方、KTCCはT細胞生成の機構をめぐる議論から生まれたものである。造血幹細胞、T cell progenitor、胸腺ストローマの作用機構などを明らかにすることを重要な課題としてきた。これに関する研究も、FACSの改良、多くのmAbの樹立、また当然のことながら分子生物学や発生学からの情報などに支えられて着実に前進している。にもかかわらず、「胸腺環境がどのような作用を行っているのか」という疑問はKTCC発足の時からほとんど変わることなく残っているのが現状のようである。遠からず解明の目途が立つことを願って、第6回KTCC集会の準備を進めております。

第6回KTCC世話人

桂  義元

広川 勝いく

日合 弘

湊  長博


第6回 Kyoto T Cell Conference プログラム

日時:1996年10月7日(月)17:00より10月9日(水)17:00まで

場所:京大会館

 

Symposium 造血幹細胞−機能分化の機構

A. (座長 湊 長博)

1. 仲野 徹 (大阪大学微生物病研究所遺伝子動態)

ES細胞から血液細胞への分化誘導

2.  工藤 明 (東京工業大学生命工学部生体制御)

骨形成がB細胞分化にいかに機能するか−その分子機構の解明を目指して

B. (座長 広川 勝いく)

1. 中内 啓光 (筑波大学基礎医学系免疫学)

純化した造血幹細胞を用いたin vivoおよびin vitroのクローナルな解析

2. 桂  義元 (京都大学胸部疾患研究所免疫学)

造血幹細胞のT、Bおよびmyeloid系列への分化決定の機序

 

Session 1  胸腺、Stroma、発生(座長 小野江 和則)

1.  糸井 マナミ(明治鍼灸大学免疫微生物学教室)

マウス胸腺源基の分化を誘導する線維芽細胞の局在と役割

2. 中川 憲一 (北海道大学免疫研究所病理)

胸腺内NHK1.1+ T細胞の欠損と胸腺構築異常 

3.  笠井 道之 (国立予防衛生研究所細菌血液製剤部)  

可溶性抗原の提示能力が異なる胸腺皮質部および髄質部上皮細胞の抗原提示過程に関する研究 

4.  竹内 保  (国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部)

胸腺上皮細胞抗原(HS9)遺伝子(N14)導入マウスの作成

5.  安達 里子 (京都大学医学部分子遺伝学)

ホールマウント免疫染色法を用いたマウス胎仔におけるパイエル板発生の検索

 

Session 2  Stem/progenitor cells(座長 成内 秀雄)

1.  西村 慶子 (JT医薬基礎研究所)

胎仔肝臓細胞中T前駆細胞の簡便濃縮法の開発

2. 廉  哲雄 (関西医科大学第1病理学)

多能性造血幹細胞の胸腺内直接注入によるlymphoid、myeloid、erythroid系への分化誘導 

3. 野老 やよい(筑波大学基礎医学系免疫学)  

T細胞系譜への分化方向決定機構の解析

4. 河本 宏  (京都大学胸部疾患研究所免疫学)

T、B、myeloid系列への分化決定の解析

5. 大村 浩一郎(京都大学胸部疾患研究所免疫学)  

胎仔胸腺中の未分化な細胞群はT系列に決定さけているか?

 

Session 3  胸腺内T細胞分化(座長 橋本 易周)

1. 佐野 哲郎 (九州大学生体防御医学研究所遺伝学)

胸腺内T細胞分化とThy-1抗原

2. 岸 裕幸  (富山医科薬科大学医学部免疫)

T細胞の胸腺内における分化とIMT-1抗原

3. 喜納 辰夫 (京都大学胸部疾患研究所分子病理)

T系前駆細胞を認識するモノクローナル抗体(MF45)の解析

4. 竹本 佳弘 (日本シンテックス免疫研)

T細胞におけるGrb2結合分子の解析

5. 村口 篤  (富山医科薬科大学医学部免疫学)

Transcriptional regulation of human RAG genes.

 

Session 4  TCR(座長 垣生 園子)

1. 真木 一茂 (東京大学医学部疾患遺伝子)

IL-7レセプター欠損マウスにおけるT細胞レセプターγ遺伝子のV_J組み換えの欠損

2.  生田 宏一 (京都大学医学部分子生物学)

矢失変異導入によるT細胞受容体γ鎖遺伝子のV_J組み換え機構の解析

3.  高垣 洋太郎(三菱化学生命科学研究所)

ブタT細胞レセプターの解析:δ鎖DNAが物語るγδT細胞の抗原認識

4.  野田 敏司 (大阪大学医学部バイオ研腫瘍発生学)

未熟胸腺細胞におけるpTα鎖CD3ζ鎖との会合

5.  穂積 勝人 (東海大学医学部免疫学)

未熟T細胞株におけるTCRα遺伝子の発現制御

 

Session 5  増殖分化とシグナル(座長 徳久 剛史/中山 俊憲)

1. 幡野 雅彦 (千葉大学医学部生体情報)

Hox11遺伝子ファミリーの形態形成およびリンパ球分化増殖における機能解析

2. 佐竹 正延 (東北大学加齢医学研究所免疫遺伝子制御)

T細胞ハイブリドーマのアポトーシスにおけるPEBP2αB/AML1遺伝子の発現変動

3. 橋本 香保子(東京理科大学生命科学研究所)

チロシンキナーゼp56 の活性化とT細胞抗原リセプターを介しておこる胸腺内T細胞セレクション

4. 佐藤 健人 (東海大学医学部免疫学)

胸腺内分化におけるCD45の役割

5. 八幡 崇  (東海大学医学部免疫学)

c-Ha-rasトランスジェニックマウスにおけるγδT細胞の異常増殖

6. 西城 薫  (千葉大学医学部高次機能センター遺伝子情報)

Jak3欠損マウスにおけるリンパ球機能不全の解析

7. 桑田 健  (三菱化学生命科学研究所)

CD4+ CD8+ 胸腺細胞および胸腺腫細胞株におけるco-receptor発現調節シグナルの解析 

 

Session 6  機能関連表面分子(座長 坂口 薫雄)

1. 桑原 一彦 (熊本大学医学部免疫学)

末梢リンパ組織におけるLy6C抗原陽性T細胞

2. 八木 淳二 (東京女子医科大学微生物学免疫学)

新しいT細胞活性化マーカーH4分子を表現する胸腺T細胞サブポピュレーションの解析

3. 斉藤 伸一郎(大阪大学医学部バイオ研腫瘍発生学)

リンパ球活性化抗原TSA-1/Sca-2分子とTCRとの物理的会合

 

Session 7  B細胞(座長 鍔田 武志)

1 日合 弘  (京都大学医学部病態生物医学)

マウスPreBリンパ腫に対する2つの宿主優性抵抗遺伝子

2.  鍔田 武志 (東京医科歯科大学医学部難研免疫)

Bリンパ球の細胞周期調節とアポトーシス

3.  森 真一郎 (関西医科大学第1病理)

胸腺B細胞の性状及び分化の解析

4.  村上 正晃 (北海道大学免疫研究所病理)

B細胞上の新しいCD28、CTLA4リガンドACBMの同定とその機能

5.  荒川 央  (京都大学理学部生物物理)

ファブリキウス襄IgG 陽性細胞と母親由来IgG

 

Session 8  apotosis(座長 日合 弘)

1. 石山 尚子 (東京医科歯科大学医学部感染免疫病理)

胸腺のアポトーシスと接着分子

2.  平峯 千春 (香川医科大学免疫病理)

胸腺リンパ球のアポトーシスの場としての上皮細胞由来胸腺ナース細胞(TNC)とマクロファージ由来TNC

3. 高山 英次 (防衛医科校寄生虫免疫学)

ファイブロネクチンによる胸腺細胞のアポトーシス誘導促進

4. 宇津山 正典(東京医科歯科大学医学部感染免疫病理)

神経・内分泌による胸腺萎縮の制御

 

Session 10  トレランス、自己免疫(座長 鈴木 元)

1. 中田 由紀子(放射線総合医学研究所放射線障害)

IL-1による末梢性寛容の誘導阻害

2.  戸田 雅昭 (東京都老人総合研究所免疫病理)

自己免疫病変部浸潤T細胞の抗原レセプターの構造とエフェクター機能との相関について

3. 清水 淳  (東京都老人総合研究所免疫病理)

正常マウスにおける臍β細胞特異的T細胞の存在−インシュリン依存性糖尿病誘導の試み−

 

Session 11  レパトア(座長 岩田 誠)

1.  岩田 誠  (三菱化学生命科学研究所)

単離CD4+ CD8+ 胸腺細胞からのヘルパー及びキラーT細胞の選択的誘導

2. 福井 宣規 (九州大学生体防御医学研究所遺伝学)

単一MHCクラス/ペプチド複合体による胸腺内CD4陽性T細胞の選択 

3. 菅原 剛彦 (筑波大学基礎医学系免疫学)  

T細胞のpositive selectionを誘導する分子信号

4. 上坂 等  (東京医科歯科大学難研免疫疾患)

ヒト末梢Tリンパ球TCR遺伝子レパトワの成立

5. 長瀬 尚志 (東京大学医科学研究所アレルギー学)

細胞表面CD4を欠如した変異マウスの解析

 

Session 12  機能発現(座長 斉藤 隆)

1.  西村 孝司 (東海大学医学部免疫学)

Th1-Th2バランスの非MHC遺伝子支配:BALB/cマウスにおけるTh2への偏りを規定する因子は何か?

2. 荒瀬 尚  (千葉大学医学部高次研遺伝子情報)

CD8+ CD44+ T細胞によるTh1/Th2制御

3. 宮武 昌一郎(千葉大学医学部高次研遺伝子情報)  

T細胞表面におけるCTLA4蛋白質の発現調節

4. 中村 英二郎(京都大学医学部免疫細胞生物学)

NK1.1+ αβT細胞によるMHC陰性EC株F9細胞の認識とその拒絶における役割

5. 杉江 知治 (京都大学医学部免疫細胞生物学)

腹腔内NK1.1+ αβT細胞の細胞障害能とその認識機構


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